ハナスバ、その後

ハナスバを終えての関係者座談会

2015年11月、「ハナスバ」の地元登壇者(ホスト)とフォーラムスタッフによる振り返り座談会を行いました。ハナスバというイベントを開催するにあたりさまざまな想いや不安があったことをあらためて思い出しながら、各々の感じたことを素直に話し合ってみました。


座談会参加メンバー(発言順)

荒川裕子 = NPO法人福井芸術・文化フォーラム事務局
東野佳奈 = TSUMUGU ART PROJECT代表
小柏博英 = NPO法人福井芸術・文化フォーラム理事
酒井晴美 = 教諭/みんなで舞台に立とう!を広げる会代表
濱見彰映 = NPO法人福井芸術・文化フォーラム事務局


ハナスバ、その後
荒川裕子

荒川 「ハナスバ」をどのような場にするか、そもそも何がしたいのか、それをやって次にどう発展したいのか、考えたのは2015年8月頃だったと思う。まずは、企画側として、どんな場を想像して、実際どうなったかということから話していきましょう。

東野 ハナスバの事前打ち合わせで8月6日に、「障がいのある人たちの表現活動について知ってもらうと同時に、福祉の場での表現活動を活発にする」とメモに書いてます。福祉分野の人と芸術分野の人、お互いを知り合わせようという話になった。

荒川 最初に小柏さんに相談した時に言われたのは、他県の事例を聞けるとか、なにかお土産、持って帰れるモノがないと参加者は集まらないということ。その辺は今回クリアできたかなと思う。あと、県内の福祉作業所の方にデザイン事務所の方を紹介することもできた。

東野 ほかにも、終わった後に参加者から「越前町でもハナスバをやりたい!」という話が出たのは嬉しかったですね。やった!と思った。あの話を出したのは私の知り合いなんですが、私の活動をSNSで見て、すごく興味を持ってくれて。彼女は、高校・大学と絵をやって、養護学校で教えたあと、福祉の世界で働くという流れのなかで、ずっと創作活動にかかわりたい気持ちはあったけどその場がなかった、何かやりたいと思ってたみたいです。

小柏 彼女のことは私も知ってて、なんでハナスバに?と思って話しかけたら、職場ではいろいろと普段の業務があるのでアートどころではないから、こういう場を望んでいたと。ハナスバには、偶然だけど、越前町の別の知り合いも来てたから、彼女とも引き合わせた。別の知り合いのほうは、学校で配られたチラシを見て来たって言ってたよ。

東野 福祉のなかでがんばっているひとがいるけど、点でしかない。それがやがて線になり面になる。人ってこうやってつながっていくんですね。

荒川 何かやりたいと思ってる人はアンテナというか受け入れるポケットを持ってるから、チラシを手にした時に吸収してくれるんだなって思う。福祉関係の人に来てほしかったから、施設マップを使って福井市内の施設全部に案内したりした。福祉行政の方にも呼びかけたけど、なかなか難しかった。どうして行政の人に来てもらいたかったかというと、こういう動きが民間で起きてるんだということを知ってもらいたかったから。でも、「業務で行くなら時間がないので」とか言われて・・・。ともあれ、なんだかんだで、参加者40人集まって良かった。キャッチしてくれる人がいてくれたなぁと。

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ハナスバ、その後
東野佳奈

東野 登壇者への質問カード(参加者がトーク中に気になったことなどをメモして登壇者に渡す)、あまり戻りがなかったので、ちょっと不安になりました。

荒川 すぐに思いつかなかったのでは?これ聞いてもいいのかな、という思いもあったと思う。これを聞いたら場の空気を変えてしまう、そういう風に感じた人は質問も書かなかったんじゃないかな。参加者の方で、「東野さんの集めてくる作品はピンポイント過ぎる。お年寄りのことも子どものことも福祉であって、障がいのある人の問題だけが福祉ではない。」ということを後で言ってる人がいた。その方には、「まず東野さんはそこ(障がい)に興味があって動いた、そういう人がもっといっぱい出てきて、私は高齢者のパートがやりたいという人が出ればそっちはカバーしてもらえる、いきなり全部はできないと思う。」と話した。それと、質問といえば「この作品はアートか否か」というもの。アートの話をすると必ず出る。アサダさんは「答えがない」と言ってた。

濱見 あと、障がい者の作品「だから」評価してもらえる、みたいな話もある。誰がつくったものであれ作品は作品、アートか否かとか決めてるのは、観ている人の視点だと思う。

小柏 そのあたりのこと、参加者の人たちはみんなどういうふうに捉えてるのか気になるよね。

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ハナスバ、その後
小柏博英

東野 ハナスバではデリケートなことを話してくれてよかったと言われました。私はそういう意識はなかったけど。ああ、デリケートな話題なんだ、って。

酒井 デリケートだと思っちゃってるんだろうね。どんな世界も、事前に知らなければ手を出してはいけない世界になっては何もできないし、広がらないと思う。みなぶたにテレビとか取材行ってもいいですか?と聞かれることがあって、うちはぜんぜんOKなんだけど、結構デリケートだと思われてる。みなぶた参加者には「舞台に出ようというものがテレビに映るとかでがたがた言ってては困ります」と最初に言ってる。だから、みなぶたはデリケートではなくなってる。

荒川 障がいのある人のことをみんなで話そうよって、なかなかないと思う。個別にはあっても、みんなで考えるというのがなかった。少なくとも私が今までいた場所では。アート、福祉、まちづくり、いろんなジャンルの人がいる中で、障かいのある人のアートってさ~、って話すことがなかった。それぞれの分野では語られるけど、ミックスするというのは・・・。

酒井 ムラタクンの場合は作品がスゴイ!というのが先にあったから、「障がいのある人の作品」ということをあらためて問う事はなかった。作品がすごいと思ったのがあったから、ここまでつっこんで関わってきてる。私は彼の作品に福祉的に関わっているわけではないと今回再認識した。

荒川 たしかにムラタクンの作品展もツムグアートも福祉活動としてやってるわけではないし、でも「アート×福祉」なんだよね。今回ハナスバのタイトルをつけるときに、「あーと×ふくし」というのをキャッチ的につけてしまったというのはある。

酒井 アートの人はアートで考えてるし、福祉の人は福祉で考えてるし、ついつい自分の分野の中だけで考えるけど、今回そういう人たちがつながって、いろんな可能性が出るなと思った。なんか生まれるものはあるのかなぁと、お互いにこういう世界があることに初めて気がつくというか。

東野 私、酒井先生が話してくださった「秋の風が吹いてくると、みなぶたのみんながそろそろ舞台に立ちたいと気持ちがはやり出す」というのがとっても印象に残ってます。先生がその話をしているときの表情がとても楽しそうで。「みなぶたは障がいのある子どもたちの舞台発表です」みたいな説明よりもずっと自分の身近に感じられて、それはすごくよかった。

荒川 酒井さんも東野さんも、楽しそうに話して、やりたくてやっているから、聴いていた参加者の人たちは勇気づけられたんじゃないかな。実践している人が自分の言葉で話すことが何よりも説得材料だと思う。

濱見 アート・福祉の領域の人どうしの、共通言語を獲得できた気がしますよね。

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ハナスバ、その後
酒井晴美

荒川 時間が短かったという感想もあった。もう少し聞きたかったという声も。

酒井 これから先の話もどこまで出せるかなと思った。

荒川 今後、どういう事が展開としてあるか。こういうことをやってみたいとか、未来の事を話した方がよかったんじゃないか。そのあたりは、着地点を考えてなかったよね?アサダさんがいらっしゃるし、あーと×ふくしの「×」がポイントになるだろうっていう期待はあったけど。

東野 事例紹介、きっかけの投げかけまではやったけど。

荒川 次のこと、今フォーラムがこういうことをやりました、次どうするのか、具体的な話はしなかったと思う。

東野 これからのことを聞かれたらどうしようと思ってて、これからどうしたい?どんな展開をしていくの?ということは話せなくて、実はハナスバでヒントや導きを期待していたりしていた。未来のことは、私が聞きたかったことかな。誰かと話して、こういうのがいいんじゃないの?という意見が欲しかった。このまま同じことを続けるのはちょっとできないのもあるし、面白くないし。

酒井 ハナスバ第2ステージが必要かな。あの場では、そこまで話がいくと、飛び交うだけで終わってしまってた気がする。

荒川 主催者フォーラムとして今後どうしていくかということを言えなかったのが心残りかなと思う。
なぜ、私がハナスバをやっているかというと、たまたまムラタクンのロボットをみて、もやもやして、みんなで話をする場が作れたらなという簡単な気持ちだった。椎名さんからは、荒川さんがこれからどうするのかということですよと言われた。
世の中にはアートがなくてもいいと思ってる人もいて、なければいけないという人もいて。でも、あってもいいよねということを訴え続けることが私の仕事だと思ってる。私自身、本当にやりたいのは、東野さんみたいな人をサポートしたり、みなぶたの人たちをサポートするのが自分の役割だと思っていて、自分が何か活動するというより、そういう人たちを支えたい。フォーラムとしてどうするか?私が場を作るとは思ってなくて、濱見さんがどう思っているかがキーかなと思う。

濱見彰映
濱見彰映

濱見 うーん、私は、福祉とアートの事ばかりをやりたいとは思ってなくて、芸術と社会との関わりのなかで、福祉と手を結べる可能性もあるんじゃないかということ。たとえば別の分野でも、アート×ラーメン屋でもいいし、そういう可能性のひとつだと思ってる。

東野 私も、福井で福祉とアートといってツムグアートを始めたけど、欲張りで、アートが好きだから、これ福祉に関係ないなっていうこともやりたくなったりする。

酒井 東野さんは、別に福祉とアートだけにこだわる必要はないんじゃないかな。そこがフリーの強みだと思うし。

荒川 フォーラムとしての今後となると、答えを用意していない、話すらしてない。正直椎名さんに聞かれても、サポートか支援は気にしていくけど、フォーラムとしてやるか、となると難しい部分もあって、そのあたりはどうしていったら・・・

小柏 やってる人、団体のサポートといっても限度があると思う。それをフォーラムで県内全部網羅するのは絶対無理だと思うけど。でも、やりたい人どうしのつなぎはできると思う。今回がきっかけになると思うし、越前町の例もどうなるかわからないけどあるし、これからもやり続けられることはそれなんじゃないかと思うけどね、「つなげる」ということ。つなげて、広げていくということはいくらでも出来るんじゃないかな。少し意識を持っているだけで。

荒川 まずは今回のような場、いろんな人が混ざりあう場を福井で作ったり紹介するっていうのが今後かな。
ある参加者の方が「境界がないってことやね」ということがわかり、すっきりして帰って行かれた。「障がい者アート」と括られるのではなくて「アート」は「アート」。何かしら自分を表現するということが自分の苦しみとかを出すことだとすれば、それは誰でもそう。障がいの有無は関係ない。
いろんな人の気づき、きっかけ、場が生まれつつあるということ、個人で興味を持っている人に気を配りつつ、こういう場をやりたいといった声が上がった時に、人をつなぐことをフォーラムはやっていけると思う。

小柏 できれば、今回きっかけにこういう風な成果が生まれました、ということを伝えていけるといいかなと思う。そうすると、何年かに1回ハナスバやろうよみたいな形になるのかなと。

濱見 今回みたいな県外からのゲストを呼んでやる規模のものを何年かに1回やりながら、小規模な、越前町とか鯖江市でぶっちゃけしゃべってみようみたいなものもやっていけるといいなと思う。生活のスピードにあわせて急ぎすぎず、次はこの人と話してみようと、確実な速度で進むことが長続きの秘訣かなと思う。

東野 私は早く次、次って思っちゃう。越前町の人が集まったと聞いたら、次は何するの?どこでするの?決めていこう!ってなっちゃう。話が流れてしまうのが嫌で・・・

酒井 うん、時間が経って熟成する部分と時間が経って消えてしまう部分があるよね。

荒川 やはり時間が経つと人はだんだん熱も記憶も薄れていくから、確認するのはいいと思う。「何かお手伝いすることはないかとか、いつでも何でも聞いてね」と声をかけるとか。
東野さんは、自分の仲間のような人が出てきて嬉しいんだよね!

東野 アートも福祉も自分とは関係ないという人も多いけれど、これだけの人が集まったということで、やっぱりどっちも大事、必要じゃん!

 

(以上)


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