アクセシビリティ研修<視覚障害者応対編>

視覚や聴覚に障害のある人が文化施設に安心して来られるための
アクセシビリティ研修

「視覚」に障害のある方への応対編

2019年6月30日(日)
10:00~15:30
福井県立盲学校

梅雨らしい天気となったこの日。普段はなかなか来る機会のない盲学校に、福井県内各地の文化施設に勤務する方、行政の方、公共ホールボランティアの方、医療・福祉関係の方、大学生らが集まってのアクセシビリティ研修会を行いました。

この研修は、視覚や聴覚に障害のある人が文化施設を訪れる際、いったいどのようなことが障壁となっているのかを知り、施設側がどんな配慮ができるか考え、環境整備を行っていくことを目的としています。

この研修を実施するにあたり、まずは福井市社会福祉協議会さんに相談に行きました。そこで福井県立盲学校の教諭で福井県視覚がい者支援ネットワークの事務局である岡島先生を紹介していただきました。岡島先生が歩行訓練士の方にもお声かけしてくださり、さらに視能訓練士の方も加わり、4人の講師の方々と昨年秋から計画をし実施に至りました。

他県で開催されている劇場でのアクセシビリティ研修に参加する中で、福井の視覚障害の方々が劇場をはじめ文化施設に対してどういう要望があるのだろうか?そもそも利用する方はどれぐらいいるのだろうか?ニーズそのものがあるのだろうか?(利用しなければニーズもうまれない)と思うようになりました。

岡島先生と相談する中で、劇場や公共ホールよりも、博物館や美術館は行ったことのある人は多いということから、ロールプレイを博物館に設定しました。また、全盲の方がお一人で文化施設を訪れることはそこまで頻繁ではないということから、今回は「見えにくい方」を対象に研修内容を考えていくことになりました。

誰でも年をとれば段々と視力も落ち見えにくくなっていきます。視覚に障害のある方のアクセシビリティを考えていくことは、実は、高齢者にも配慮することになるという気づきがありました。

より多くのあらゆる人を受け入れる環境作りが「アクセシビリティ」であって、特別な人の特別な対応をすることでは決してないのです。知らないことが最大の壁であり、アクションをし続けることの大切さを学びました。

今後は、研修参加された方のフォローアップも行っていく予定です。どうぞ、ご期待ください。

(テキスト=荒川裕子)


最初にレクチャーから。講師の岡島先生は盲学校の理療科教諭です。

アクセシビリティ研修<視覚障害者応対編>
参加者のみなさん。盲学校は初めての方ばかり。

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研修の目的をあらためて。多様な人々が集う文化施設から「アクセシビリティ」を発信する意義について説明。

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「障害の考え方」について。
“障害”は個人の側にあるのではなく、障害をつくっている社会の側にあるということ。

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視覚障害は視力障害と視野障害に分類される。多くの人は「視覚障害=全盲」と誤解している。視覚障害者手帳を所持している人は31万人に対し、見え方で困っている人は164万人も。その差133万人!

アクセシビリティ研修<視覚障害者応対編>
明朝体よりもゴシック体の方が文字が太くはっきり見えるので、見えにくい方にはゴシック体の方が好まれる。

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歩行訓練士の森下さんのレクチャー。歩行訓練士になったきっかけは、見えない方と一緒に買い物に行って名前を覚えてくれたご経験から。

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歩行訓練士の青山さんも入り、「手引き」をする際の姿勢についての説明。左右どちらがいいのか、腕か肩どちらがいいのか、お相手に尋ねます。

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いざ、実践!

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「○○です。○○が手引きさせてもらいます」と自己紹介をするのが絶対のマナー。

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椅子に座ってもらう際「こちらが背もたれです、こちらが座面です」と言いながら手で触れてもらい、ご自身で着席してもらいます。

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点字ブロックに沿って歩くと安心!

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昼食時間には「学校ツアー」を敢行しました。珍しい器具に興味津々。

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陶芸室なる部屋が!生徒さんの陶芸作品も展示されていました。

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触って学べる地球儀。国名が点字になっています。

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盲学校の校庭はとても広いんです!生徒さんが元気いっぱい遊んでいる様子が想像できます。

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教科書以外にも拡大鏡を置くために、生徒さんの机は一般の学校の机よりも大きいものを使っています。

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宇宙の星を触って知る学習キット。触るとかなり凹凸があります。

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実はこちら、お料理のまな板なんです!

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盲学校の廊下には突起した黒いラインが引いてあります。このラインを目印に歩くと歩きやすいそう。

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お待ちかねのロールプレイ!テレビ局や新聞の取材もあっていささか緊張?!

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想定外の質問にも笑顔で応対!

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この日は、当フォーラムに授業の一環で春から来ている大学生4人も見学。真剣にメモをとります。

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東京から来られた鈴木さんにお客さん役を急遽お願いすることに。

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学芸員の資格取得を目指して勉強されている鈴木さん。普段から美術館や博物館に行く機会が多く、ご自身の経験を踏まえてのロールプレイは圧巻でした。

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予定になかった大学生ペアのロールプレイ。見ているのとやるのでは大違い。

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最後ということで、ペアのお客様の応対を。全盲のお客様と見えにくいお客様ではアテンドも変わってきます。

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全盲の方を手引きし「お手洗い」まで誘導。この後、今日一番の盛り上がりをみせました。

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鈴木さんは世界一周旅行に行った際、世界各地の美術館を廻られました。中でもルーブル美術館は、見えにくいというハンディを微塵も感じず心の底から楽しめたそうです。

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視覚に障害のある方にとって、iPadなどのタブレットは単なる便利な道具ではなく「第3の目」。視力が低い人がコンタクトレンズをはめたり眼鏡をかけたりすることと同じなんです。

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講師の先生方。文化施設を対象にした研修は初めてということでしたが、手ごたえを感じていただきました。これで終わりではなく、次なる動きへと歩みを進めていけたらと思います。

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終了した後も、参加者からの途切れない質問が。参加者の皆さん一人ひとりが感じ考えてことがアクションにつながることを願っています。

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