いる みる つくる はなす
Irudakedemo Mirudakedemo Tsukuttemo Hanashitemo
* 作品応募受付期間
2021年8月1日(日)~8月31日(火)
* 公開制作
2021年9月23日(木・祝)
文:荒川裕子
「時間や場所を共有しないで、つくることでつながることをやってみたい」という新しい切り口の、ある意味挑戦的なプロジェクトは、最初の企画会議の中で出てきたことだった。
やってみないとわからない、手探りな感覚は、2年前のプロジェクトにも似ていると個人的には感じていた。
参加者と直接接しないことは、コロナ下という特殊な状況にあっていた。
当初は、ショッピングセンターの多目的ホールを会場に、集まった作品を、ただ展示するのではなく、アーティストが手を加えて、作品を演出するように見てもらう試みだった。
イラストだったり、声だったり、写真だったりと、どんな作品が集まるかで、どう見せるかが決まるというもの。
また、当日来られた方には、ご自身も作品創作に参加できるしかけもやろうとしていた。
全国的に猛威を振るうコロナウイルスの影響により、無観客開催を1ヵ月前に決定し、とある古民家を借りての作品発表となった。
古民家だからこそ、できることがたくさんあり、和室や板の間、たまたまそこにあった遊具や道具もお借りしながら、新たな見せ方のアイデアも広がっていった。屋内だけでなく屋外も作品発表の会場とするなど、ライブ配信も意識した見せ方となった。
作品未満(というと失礼かもしれないが)であるその人の「表現」に新しい見せ方をすることで、その人の中で完結していたものを、
アーティストの力を借りて、世に出す、発信するという取組みは、実はいろんなフィールドでできるのではないかという可能性に気付かされた。
「表現」が作者から手を離れて、アーティストの手に渡り、新しい見せ方で発表する。そこには、目に見えないつながりや相手を思う気持ちが確かにある。この試みは、まだ実験途中かもしれないが、1つの作品、1人の表現者に向き合う大切さを教えてくれた。
参加いただいた皆さま、ありがとうございました。